「学歴なんて関係ない」「これからは実力の時代だ」――そうした言葉を耳にするたびに、なるほどと思う一方で、現実はそれほど甘くないのだと痛感することがある。特に初対面の場や書類選考といった「情報が少ない場面」では、学歴が一つの判断材料として使われることは、今も昔も変わらない。
もちろん、学歴がすべてではない。仕事ができるかどうかは、入社後の実績や人間関係、継続的な努力にこそ現れる。だが一方で、学歴にはそれなりの重みがあるのも事実だ。なぜなら、学歴とは「ある一定の期間、一定の課題に取り組み、成果を出してきた証拠」として機能するからである。社会は、誰かを評価するときに「これまで何をしてきたか」という過去の足跡を重視する。そのとき、学歴は見えやすく、比較しやすいラベルとして扱われる。
特に日本社会においては、「どこで学んだか」「いつ卒業したか」が名刺代わりになってしまう場面も多い。出身校の名前だけで、能力や人柄が推測されることもある。もちろんそれは偏見の一種であるが、偏見をゼロにすることは難しい。だからこそ、学歴があることで得られる「初期信用」は、就職や転職の際に無視できない武器になる。
では、学歴がない人はどうすればよいのか。答えは明確である。学歴以外の「信用」を、自分で積み上げるしかない。資格を取る、実務経験を積む、成果物を形にする。つまり、学歴に代わるラベルを自らの手で作り出していくのだ。今の時代は、ブログでもSNSでも、スキルを発信する手段はいくらでもある。学歴がないことを言い訳にするより、学び直すか、スキルを可視化する努力を始めたほうが建設的だろう。
「学歴で判断するのはおかしい」と声高に叫ぶ前に、学歴に代わる何かを持っているか、自問してみる必要がある。結局のところ、社会とは他者が自分をどう見るかの世界であり、その中でどう信用を得るかがすべてだ。学歴が関係ない社会が来ることを期待するよりも、自分がどんな「信用」を持っているかを冷静に見つめ直す方が、スキルアップという視点でははるかに実りがある。
学歴がすべてではない。しかし、「まったく関係ない」わけでもない。その現実を受け止めたうえで、自分はどう見られたいのか、何を武器にするのかを考えることが、これからの時代の賢い生き方である。

