キャリアアップのために必要なものは何か。資格、実績、勤勉さ……さまざまな要素が挙げられるが、意外と見過ごされがちなのが「人脈」である。人脈というと、コネや馴れ合いのような印象を持つ人もいるかもしれないが、現代のビジネス環境において、人とのつながりは決して軽んじてよいものではない。
特に変化の激しい時代においては、情報の速さと質がキャリアの成否を分ける。その情報の源は、インターネットや書籍だけでなく、実際に人との会話やネットワークの中から得られることが多い。たとえば、異業種交流会や勉強会で出会った人から新しいプロジェクトの話を聞き、それが転職や起業のきっかけになることもある。あるいは、同じ職場でも違う部署の人と意識的に接点を持っておくことで、思わぬところから評価されることもある。
人脈づくりは、決して「得をするため」に他人に近づくという打算的な行動ではない。むしろ、自分から積極的に相手に興味を持ち、相手を理解しようとする姿勢が基本である。その積み重ねが信頼となり、信頼がつながりを強固なものにする。キャリアとは、単に「上に登る」ことだけではない。信頼され、頼られ、自分の専門性を発揮できる場所にたどり着くこともまた、立派なキャリアアップである。
また、人脈は“将来の自分”を支えてくれる保険のような役割も果たす。今は順調でも、何が起きるかわからないのが人生だ。そうしたとき、助けてくれるのは、やはり人とのつながりである。転職先の紹介、プロジェクトへの参画依頼、あるいは精神的な支え。人脈があることで、リスクをチャンスに変えることができる。
大切なのは、ただ名刺を配ることでも、SNSのフォロワー数を増やすことでもない。ひとつひとつの出会いを大事にし、相手とどんな関係を築けるかを意識すること。そして、自分自身が誰かにとって「つながりたい」と思われるような人間であるかを問い続けることだ。
キャリアアップは、自分ひとりで成し遂げるものではない。誰と出会い、どう関わり合うか。その積み重ねこそが、未来をつくっていくのだと思う。

