埼玉県八潮市で起きた道路陥没事故は、多くの人にとって衝撃的な出来事だった。走行中のトラックが突然、地面ごと崩れ落ちる―まるで映画のワンシーンのようだが、これは紛れもなく現実である。そして、この事故の原因とされているのが「下水道管の破損」だという。
日本の社会インフラ、とくに道路や橋、下水道などの老朽化は以前から指摘されていた。今回の事故は、その問題が目に見える形で表れたにすぎない。
日本のインフラは、高度経済成長期に一気に整備されたものが多い。それから数十年が経ち、耐用年数を迎えている設備が増えているのに、更新や補修が追いついていないのが現状だ。特に下水道のような地中に埋まっている設備は、問題が表面化するまで気づかれにくい。気づいたときにはすでに大きな被害が出ている、というのが怖いところだ。
今回の事故では、周辺の広い範囲で下水の使用制限がかかり、約120万人が影響を受けている。普段、当たり前のように使っている水回りが制限されるだけで、生活が大きく揺さぶられることがよくわかる。私たちは、こうした社会基盤に支えられて日々暮らしているのだと、改めて実感する。
しかし、インフラの老朽化対策には莫大な費用がかかる。新しい施設をつくるのではなく、すでにあるものを維持・修繕するのにお金をかけるのは、どうしても優先度が低くなりがちだ。政治の世界でも「目に見えやすい成果」になりにくいため、後回しにされることが多いのが実情である。
では、私たちはこの問題にどう向き合えばいいのか。まずは、社会インフラが「壊れないのが当たり前」と思い込まないことが大事だ。道路や橋、下水道は魔法のように存在しているわけではない。すべて、誰かが点検し、維持し続けているからこそ使い続けられるのだ。
また、行政が発信する情報に少しでも関心を持つことも重要だ。例えば、自治体が公表しているインフラの維持管理計画や予算配分をチェックするだけでも、現状が見えてくる。
今回の事故をきっかけに、社会インフラの老朽化という問題がクローズアップされた。私たちが日々の生活を快適に送るためには、目に見えない部分にも気を配ることが必要なのだ。
