早起きは生活の質を向上させるとよく言われる。しかし、いざ起床時間を早めてみたものの、「結局、いつもと同じ時間に家を出ているじゃないか」と気づいて、肩を落としたことはないだろうか。この現象の背景には、意外にも人間の心理や行動パターンが深く関わっている。
早起きすると時間に余裕ができたと感じる。その結果、「まだ時間があるから」と、朝食をいつもよりしっかり作ったり、スマートフォンでニュースを延々とスクロールしたり、はたまた久しぶりに鏡の前で自分の顔をまじまじと見つめたりしてしまう。人は無意識のうちに与えられた時間を埋めようとする傾向があり、この心理を「パーキンソンの法則」と呼ぶらしい。つまり、時間が多ければ多いほど、やるべきことにかける時間も長くなるというわけだ。これを聞いて、「じゃあ早起きした意味って何だったの?」と思った人、私も同じ気持ちだ。
計画性の問題も見逃せない。「今日は早起きして、いつもより充実した朝を過ごそう!」と意気込んで布団を出たはいいものの、気がつけばソファに座って動画サイトで猫の動画を見続けている。特に、猫が段ボールに滑り込むあの動画はなぜあんなにも魅力的なのか。早起きの余裕時間を明確な目的なしに過ごすと、結局はだらだらしてしまい、家を出る時間が変わらないどころか遅くなりかねない。
人間の「習慣力」も大きな影響を及ぼしている。毎日同じ時間に起き、同じ手順で準備を進めている人にとって、突然ペースを変えるのは難しい。「あと10分で家を出る」というタイミングで、なぜか靴磨きを始めたり、植物に水をあげたくなったりするのも、この習慣のリズムが崩れるせいなのだろう。
この「早起きしても何も変わらない現象」を打破するにはどうすればよいのか。まずは早起きで得た時間の使い道を具体的に決めることが重要。「出勤前に30分間の散歩をする」「未読の本を10ページ読む」など、あらかじめ具体的な目的を設定すると、朝の時間を有効に使いやすくなる。なお、「朝活しよう!」と意気込んでSNSに「#朝活」と投稿するだけでは、時間の有効活用にはならない。
車での出発時間を前倒しする意識も効果的だ。いつもより10分早めに出発することで、信号待ちの渋滞や、道中のトラブルにも冷静に対処できる。そして、駐車場に着いた後、車内で長居しないことを徹底することも大切だ。
結局のところ、早起きそのものが悪いわけではない。ただ、その時間をどう使うか次第で「有意義な早起き」になるか、「ただの寝不足」になるかが決まる。そして、「時間に余裕があるから」と朝からSNSを見続けた結果、二度寝して寝坊するなんてオチだけは避けたい。早起きの本当の敵は意志の弱さではなく、スマホとふかふかの布団なのかもしれない。どちらも手強い相手だが、負けない心で立ち向かいたい。
